Earth Light Project

プロジェクト概要

Earth Light Project(ELP)は、人類史上初めて、炎を成層圏に打ち上げ、宇宙を背景にした「炎越しの地球」を撮影するプロジェクトです。打ち上げの様子を地球全体で見守ります。撮った映像は「共生社会の新たなシンボル」にすべく、活用していきます。

なぜコロナ禍の今やるのか

2020年、世界は新型コロナウイルスという新たな脅威に直面しました。

同じ空間をともにする場を失い、人と繋がる事に臆病になった私たちの生活は、あっという間に分断されていきました。

ひとつ、またひとつと希望は失われ、世界が一つになる象徴である東京オリンピックは、大会史上初めて延期が決定。

それでも、世界が一つになることを諦めたくないと私たちは立ち上がりました。

「世界を一つにする」という役割を背負った2021オリンピック開催国の日本から、分断が蔓延するこの星に何かできることはないか考えた結果が、このプロジェクトです。

なぜ宇宙を目指すのか

宇宙という壮大なテーマは、これまでにも、同じ目標に向かうことで、異なる背景をもつ人々同士をつなげる役割を果たしてきました。

史上最も成功した国際共同プロジェクトと言えば、国際宇宙ステーションです。様々な国が、国益を越えた協力をしたからこそ、実現しています。

今、自国第一主義や人種差別問題の再燃、移民問題などといった形で、「世界の分断」が加速しています。だからこそELPは、「それでも世界がつながることを諦めない」をテーマに、宇宙を目指すことにしたのです。

なぜ炎を掲げるのか

人は大昔から炎を囲み、つながりを強くしてきました。

一方で、炎は歴史の中で、常に破壊の象徴でもありました。

つながりを強めることと、破壊することの、両方を活かして、平和の象徴を担ってきたのが、オリンピックの聖火リレーです。

私たちは聖火リレーの哲学に共鳴し、炎を「人と人とを繋ぎなおす象徴」として掲げることにしたのです。

「地球全体で見守る」とは

打ち上げ当日は、スペースバルーンの打ち上げから炎の点火までを放送する番組を作成。

番組内では、打ち上げ会場と、炎越しの地球をYouTubeで同時にライブ配信しました。

「炎越しの地球」が共生社会のシンボルになるために

「共生社会勉強会」を開催し、世の中にどんな分断があるのか、乗り越えるために何ができるのか、様々な分野について、研究者や実践者をお呼びして、学び続けています。

コロナ禍においても「つながることを諦めなかった」若者たちの挑戦を、広げていくプロジェクトも進めてきました。2021年12月から2022年1月に渡っての、千葉市科学館での展示を皮切りにして、全国の子どもたちに向けて、打ち上げを支えた技術や、ELPの想いを伝えることを目指しています。絵本や映画の制作も検討中です。

ELPのこれまでのあゆみ

クラウドファンディング成功

炎を成層圏に打ち上げるために、どうやって費用を集めたのか。

それは、クラウドファンディングです。

2020年7月から54日間に渡り行ったクラファンは、最終的には目標金額の750万円を大きく上回る1,059万4,566円を、合計655名の方からご支援いただきました。これは、CAMPFIREの「チャレンジ」カテゴリで当時の歴代4位の支援額となりました。

このような多額の金額を集めることができたのは支援者の皆様のおかげです。心より感謝を申し上げます。

1回目の打ち上げ

2021年5月に打ち上げを予定していましたが、緊急事態宣言の発令により、2度も延期をせざるを得ませんでした。

そして2021年6月。

台風の影響で危ぶまれながらも、やっと打ち上げに成功。

今回は成層圏からの映像撮影に成功するも、燃焼機にアクシデントが発生。

成層圏での炎の点火はかないませんでした。

2回目の打ち上げ

2021年9,10月,2022年3, 7月に予定していたものの、緊急事態宣言や悪天候によって打ち上げが出来ませんでした。

2023年9月4日、ついに打ち上げを実施しました。
そして、高度2万メートルでの炎の点灯に成功しました。

理念を強めるためのイベントの実施

ELPは、炎の打ち上げにあたり、理念を強めるためのイベントも企画しました。

・Candle night “Imagine”

全世界から参加者を集めた、平和を想うためのオンラインのキャンドルイベントです。John Lennonの名曲“Imagine”をはじめ、音楽パフォーマンスを開催。使用したキャンドルをイベント後に世界中から回収し、溶かして1本の「世界のキャンドル」を作成。成層圏へ打ち上げる炎の燃料の一部に使用しました。

・Earthian Hack

「クリエーションで分断を乗り越える」というビジョンを掲げて、賞金付きのオンラインハッカソンを企画。南アフリカやインド、中国、アメリカなど、9つの国と8つのタイムゾーンから集まり、チームを組んで、「分断を乗り越える仕掛け」をテーマにしてサービスをつくりました。

発信の舞台

ELPの理念や取り組みを多くの方に知っていただくため、以下のような機会で発表を行ってきました。

・国際宇宙会議(International Astronautical Congress, IAC)

IACは、宇宙開発計画および学術研究成果の発表の場として、世界の宇宙機関、企業、大学等の関係者が2000人規模で参加する、名実共に世界最大の宇宙関連会議です。2023年10月、アゼルバイジャンの首都、バクーで開催されたIAC2023にて、Societyの枠で、「The Idea of ”Convivial Society” Embodied in The Flame That Lit in The Stratosphere」と題し、ELPがポスター発表を行いました。

・Youth UNHCR みんなの未来そうぞうコンペ

本コンペティションは、Youth UNHCRが主催、UNHCR駐日事務所、国連UNHCR協会が協力し開催されました。難民をはじめ多様な背景を持つ人々と共に生きることを目指した、様々な身近なアクションが発表されました。ELPは、「Earth Light Cafe」と題した企画を発表し、EmPATHy賞を受賞しました。その後、UNHCR親善大使のMIYAVI様と対談企画を実施いたしました。

・大気球シンポジウム

大気球シンポジウムは、JAXA宇宙科学研究所が主催する、宇宙科学研究のための成層圏気球に関するシンポジウムです。2022年11月に人材育成・天文学の枠で、「炎越しの地球を撮影した中気球実験の概要」と題し、ELPが論文発表を行いました。

ELPの今後

分断がますます深まる国際情勢を踏まえ、その理念の輪を広げるためにも、Earth Light Projectの活動は続きます。特に、「炎越しの地球」の映像を活用した動画の制作・発信に力を入れていく予定です。また、動画の上映機会やメンバーの発信の場を探しています。もしご関心のある方は、お問合せフォームよりご連絡いただければ幸いです。

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