代表挨拶

僕はボランティアに良いイメージを持っていませんでした。
マニュアル通りの単純作業を、機械的に繰り返すイメージが強かったからです。

しかし、学生団体おりがみで、“オリンピック・パラリンピックをくせいんなで盛り上げる”ことを目指した僕らの手段は、まさにボランティアでした。
あのあまりにも大きなイベントに近づくには、お金ではなくそれぞれの意志で進んでいくしかなかったのです。

入り口が広いからこそ、「続ける理由」も人それぞれ。その多様な人々をチームで動かすのは、予想以上に困難だらけでした。
葛藤して突き進んで、ときには空回りしてぶつかって。
僕がボランティアを通して知ったのは、人間が面倒臭い生き物であることでした。

だからこそ、みんなが共感できるビジョンを議論して、タスクではなく魅力的なプロジェクトとして立ち上げてきました。
参加者それぞれが納得できる、社会を変えうるストーリーを紡いできました。

ではなぜ、お金や組織という合理的な手段ではなく、ボランティアをするのか。
ボランティアには意志があり、人間の感情があるからです。
一筋縄ではいかないことばかりだけど、ひとりひとりの想いが重なり夢が叶ったときの感動は、何にも変えがたいものです。
互いの意志を胸に抱き、正面から向き合って築いた絆や夢。
これこそ、人生の豊かさに繋がると信じています。

僕たちが実現したい世界は、ボランティアを通して多くの人生が豊かになる世界です。
そこにあるのは、たったひとつの答えに向けて歩く一本道ではありません。
人間の数だけ歩き方の答えがある、どこまでも広がる大きな世界です。

NPO法人おりがみ 理事長 都築 則彦
千葉大学大学院人文公共学府博士後期課程
専門は地域社会学・ボランティア研究。

牛乳配達を営む家庭に生まれ、大きな世界を夢見てオリンピック・パラリンピックの最前線へ。2014年にオリンピック・パラリンピックへの参画の幅を広げることを目的に「学生団体おりがみ」を設立。以降、2021年まで代表を務める。有限会社トウチク代表取締役。Earth Light Project実行委員会代表。全国学生ボランティアフォーラム代表。2019千葉大学学長表彰受賞。

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